今季“代打の神様”に値するのは誰だ!? ひと振りに懸ける「すごい」男たち

ベースボール・タイムズ

プロ野球史を彩る“代打屋”たち

巨人の代打打点記録の更新が濃厚な高橋。ここまで両リーグ断トツのトップ、17打点を挙げている 【写真は共同】

 代打稼業が騒がしい。

 先月12日、中日の小笠原道大が球団記録に並ぶ代打6打席連続安打をマークすると、翌13日に阪神・関本賢太郎が7回2死満塁から東京ドームの左中間スタンドへ起死回生の逆転満塁弾。負けじと、同22日の甲子園では巨人の高橋由伸が9回2死の土壇場で同点本塁打。高橋は今月5日にも代打でタイムリーを放ち、球団の代打打点記録(1976年の柳田俊郎、18打点)にあと1点と迫った。優勝争いが激しさを増す中、ひと振りに懸ける男たちの存在価値が、気温とともに上昇を続けている。

 過去、プロ野球の長い歴史においても、多くの“代打屋”たちが活躍した。古くは、阪急で活躍した高井保弘の名前が挙がる。数々の代打記録を保持し、特に通算代打本塁打27本は世界最多。74年のオールスターで代打逆転サヨナラ本塁打を放つなど、“世界の代打男”としてオールドファンの記憶に強く残っている。

 さらに、勝負強い打撃で甲子園を沸かせた“代打の神様”八木裕(元阪神)、プロ野球歴代2位の通算代打打率3割1分5厘を持つ浅井樹(元広島)、その浅井とのコンビでセ・リーグ歴代1位の代打本塁打20本を放った町田公二郎(元広島、阪神)、同2位タイの代打本塁打16本をマークした竜のGキラー・川又米利(元中日)、福岡ダイエー(現、福岡ソフトバンク)と巨人で切り札として活躍した大道典嘉……。近年でも、二岡智宏(元巨人、北海道日本ハム)、立浪和義(元中日)、桧山進次郎(元阪神)、前田智徳(元広島)らが代打として、その打撃技術を惜しげもなく披露した。

打率4割が「神様」の必要ライン!?

 具体的な数字で振り返ろう。かつて“神様”と呼ばれた八木が、代打として脚光を浴びたのは97年のことだった。それまでの数年間は故障とスランプに苦しんでいたが、この年は代打として計53回起用され、42打数17安打の代打率4割5厘で17打点をマーク。その後も代打として働き、02年には代打率2割7分1厘(48打数13安打)ながら、代打逆転満塁ホームランを放つなど計19打点をマーク。単なる成功率だけでなく、勝負所での活躍、周囲に与えるインパクトの大きさも“神様”の称号を得るためには必要になるのだろう。

 現に打率だけを見ると(30打席以上を対象)、09年から昨年までの5年の間に、10年の埼玉西武・上本達之(打率4割)、12年の巨人・石井義人(4割5厘)、千葉ロッテ・福浦和也(4割2分4厘)の3選手が代打で打率4割超えを達成。さらに打率3割5分以上だと、09年の横浜・金城龍彦(3割7分)、10年の阪神・関本(3割5分5厘)、12年の東京ヤクルト・福地寿樹(3割7分)、13年の巨人・矢野謙次(3割5分8厘)、広島・岩本貴裕(3割5分)が加わる。

 一方、代打での打点を見ると、09年の中日・立浪(16打点)、10年の広島・前田智(16打点)、12年の前田智(19打点)、13年の巨人・矢野(16打点)が、09年からの5年間で15打点以上をマーク。ファンからすればこちらの方が“代打の神様”の面子としてスッキリする気がする。パ・リーグはDH制があるため、代打に関する成績がセ・リーグ偏重になってしまうのは致し方ないところだろう。

1/2ページ

著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント