広島に生まれる新たなスター 一岡竜司の可能性に高森勇旗が迫る

高森勇旗

9日の紅白戦では2回無失点と好投した広島・一岡 【写真は共同】

 昨年は3位に入り、クライマックスシリーズ(CS)に進出した広島。10勝を挙げた大竹寛が巨人に移籍したが、今季はさらなる躍進を目指す。元横浜DeNAの高森勇旗氏が、広島のキーマンに迫る。

プエルトリコのウインターリーグで好投

 今、広島カープで急激に評価を上げている選手がいる。それが、一岡竜司投手だ。2月9日に行われた、チーム初の実戦となる紅白戦のマウンドに登板し、2回を投げ無安打無失点、5奪三振の快投を見せた。キャンプ序盤のこの時期にストレートは最速145キロを記録し、習得中という高速フォークで三振を奪った。広島に突如現れたこの男、一体どのような投手なのか。

 一岡竜司。昨年末に巨人にFA移籍した大竹寛投手の人的補償として広島が指名した、入団3年目の23歳である。1軍での実績こそまだ少ないものの、昨年の2軍での成績は35試合登板で、0勝1敗15S、防御率1.10。32回3分の2を投げて42奪三振という奪三振率の高さも光る。また、プエルトリコで行われた、現役メジャーリーガーも多数参加するウインターリーグに、巨人の選手として派遣されると、3試合に先発、2勝0敗、防御率1.62という好成績を残した。人的補償で広島が一岡投手を指名した際、巨人の原沢敦球団代表兼GMに、「取られたくない選手の上位に入っていた」と言わしめたほど、将来を嘱望された選手だ。

巨人が「将来の守護神候補」と評価

 実は私、横浜DeNA在籍時代の2012年、ファームで何度かこの一岡投手と対戦している。
 21歳だった一岡投手は、ルーキーということを感じさせないくらい球のキレが良く、今後の彼の代名詞となるであろうフォークもキレキレだった。その落差をあえて言葉で表すならば、130キロ台後半というスピードでありながら、カーブのごとく落ちる。

 独特な投球フォームは、特徴的な左手の使い方により、胸がなかなか打者の方に向かないため、打者は距離感がつかみづらい。加えて、小さいトップはリリースポイントも見えづらくする。タイミングが取りにくい上に、ボールの出どころも見えづらい。しかも、スピードは常時140キロ台後半をマークする。正直、非常に厄介な投手であった。中日ドラゴンズの浅尾拓也投手と同タイプの投手といったところだろうか。

 2012年シーズン、一岡投手はルーキーイヤーながら2軍戦で46試合に登板し、7勝1敗14S、防御率0.55、48回3分の2を投げて50奪三振という堂々たる成績を挙げている。
 この年、「一岡ってすごく良いピッチャーですね!」と、ある巨人関係者に言ったところ、「アイツは将来の守護神候補。今年は下(2軍)で育てる」と当時から期待をされていたほどの投手だ。

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著者プロフィール

1988年5月18日生まれ。富山県出身。岐阜・中京高−横浜ベイスターズ。 2006年ドラフト4位で横浜ベイスターズに入団。09年にはファームで打率3割9厘、15本塁打、56打点を記録し、イースタン・リーグ最多安打に輝き、ビッグホープ賞、技能賞を獲得した。12年に現役引退。 特技は「球界一」と称されたモノマネで、ITスキルを生かしたデータ分析も得意。現在は野球の取材をしながら、マルチに活躍している。

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