主将・高橋大輔が示した団体戦の戦い方=国別対抗戦・男子FS
演技後、思わずホッとした表情を見せた高橋。キャプテンの仕事をしっかり果たした 【坂本清】
「チームのために」2本目の4回転を回避
前日のショートプログラム(SP)で本来の演技ができず、FSでは「4回転は捨てるくらいの気持ちで思いっきりいく」と開き直った高橋。だが、チームの連覇に向けてひそかに作戦を練っていた。それは、1本目の4回転ジャンプに成功したら、続く2本目の4回転を回避して難易度を落とすこと。基礎点は下がるものの確実にジャンプを成功させて得点を稼ぐためだ。
作戦は実行に移された。演技冒頭、両手をつきながらも4回転トゥループを回りきると、続く4回転トゥループを、急きょトリプルフリップからのコンビネーションに変更。これをきれいに決めて、基礎点6.60と加点0.90を獲得した。
献身的な応援がチームの力に
戦略を実行しつつも、情感たっぷりの演技を披露 【坂本清】
個人戦にはない仲間からの応援に、チームメートも心強さを感じているようだ。「滑る前はすごく緊張していた」という無良は、チームメートからコールを受けて「我に返った」と気持ちを落ち着かせることができたという。また、アイスダンスのキャシー・リード(木下クラブ)も「みんなのサポートがすごくうれしかった」と声援を力に変えた。高橋が戦前、「『僕も頑張ろう』『私も頑張ろう』と思えるような演技を」と語っていたその思いがチーム全体にも広がり、チームの絆がより強まっていることを伺わせるふたりの発言だった。
世界選手権からわずか1カ月。ただでさえ肉体的にも精神的にもコンディションを合わせるのが難しい中、高橋は団体戦であることを誰よりも意識し、チームのために最善を尽くす、まさに“キャプテン”と言うにふさわしい働きを見せた。
国別対抗戦はきょう13日が最終日。きのうの試合を終えて「少し時間があるので、何か(応援グッズを)買えるものがあったら買いに行って、盛り上げられるようにしたいと」と笑顔で語った高橋。国別対抗戦の3日間で最も熱い応援に期待しつつ、高橋とともに日本チームに大きなエールを送りたい。
<了>
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