初制覇果たした羽生「地元だからこそ力を出せた」=NHK杯・男子FS

スポーツナビ

地元の大声援を受け、NHK杯初優勝を成し遂げた羽生。GPファイナル進出も確定させた 【坂本清】

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第6戦・NHK杯は24日、宮城セキスイハイムスーパーアリーナで男子のフリースケーティング(FS)が行われ、ショートプログラム(SP)トップの羽生結弦が冒頭の4回転ジャンプを決めるなどまとめ165.71点、合計261.03点でNHK杯初優勝を果たした。

 逆転優勝を狙った高橋大輔は冒頭の4回転ジャンプを成功させるも、トリプルアクセルで手をつくなどジャンプでミスが出て、FSの得点164.04点、合計251.51と羽生におよばなかった。

 羽生、高橋ともに12月6日からロシア・ソチで始まるグランプリファイナル出場を決めた。

羽生、1位でのファイナル進出に「喜びは大きい」

会見で笑顔を見せる羽生。NHK杯は充実感に満ちた大会だった 【坂本清】

 以下は羽生のコメント。
「(後半は)疲れて(体が)動かなかったです。そんなに集中力は切れていなかったのですが。でもスピンで転んだ(バランスを崩した)後には集中力が切れました。さすがに笑っちゃいましたが。細かなミスも結構ありました。

 4回転については納得がいっています。後半は、しっかりと体力をつけていかないと。
(総合は自己ベスト更新だったが?)ショートプログラムが良くての総合ベストだったので、そのことはあまり気にしていません。小さなミスが続いたので、むしろその中でベストが出たのが大きかったです。

(スケートアメリカとどう違う?)1位で(ファイナルに)いけるという喜びは大きいです。ショートで95点という高い評価を得たこともうれしいですが、(スケートアメリカよりも)成長したフリーを見せられた。スコアというよりも、そういう姿を見せられたことがうれしいです。それと、地元でこの結果を出せた喜びがあります。

 地元だからこそ、あれだけ力が出せたんだと思います。高橋(大輔)選手への歓声がすごかったけど、最初のジャンプを跳んだ後など歓声が湧いて、それに背中を押されました
 フリーで大きなミスが続きましたが、その中で160点を超えたのは自信になります。練習してきたことが出せたことも、自信になります。

(日本は選手層が厚いが?)そういう層の厚いなかで戦っていける喜びもあります。その気持ちでどんどん強くなれると思います」

オーサーコーチ「運の付け入る隙のない、実力をつけることが大事」

 以下は、羽生結弦のコーチであるブライアン・オーサー氏のコメント。

「結弦にとって、フリーを滑りこなせたのが良かったです。今まではスケートアメリカのように(ショートプログラムかフリーの)どちらかひとつがうまくいくという感じでした。両方滑れたのは大きいです。
(フリーに)送り出す時には今までやってきたこと、トレーニングを信じろとリマインダーのように伝えました。実際、地元の皆さんの前で、演技するのは楽しそうでした。
(今後の)最大の課題は、全日本(選手権、12月21日から)に照準を合わせること。そろそろ彼には、全日本に照準を合わせてほしい。トロントで集中的にトレーニングするのが、一番有意義だと思います。

(今回、ショートとフリーの両方をまとめられた理由は?)結弦の課題はずっと研究してきましたが、自分が良い滑りをできると思えるようになることが大事。今まではその時の運次第だった。でもこれからは、プログラミングされること、運の付け入る隙のない、実力をつけることが大事です」

3連覇を逃した高橋、羽生に「勢いを感じる」

逆転Vを目指し、追い上げを見せた高橋だが、一歩及ばず。3連覇はならなかった 【坂本清】

 以下は高橋のコメント。
「4回転を転んだのは悔しいです。氷に引っかかった部分もありますが。これが試合なのかなと思いました。(4回転は)1本目は落ち着いてできたと思います。2本目は失敗しましたが、失敗の仕方は悪くない。自分なりに徐々に調子を上げていければ。

(ショートプログラム終了時点で1位の羽生と)8点差があったので、守ってもしょうがないと思いました。それが良い形につなかったのかなと思います。

 ショートプログラム、フリーと、ミスが続いたことで、自分はまだまだだと思いました。男子はレベルが高くなっていることも痛感した大会でした。

(GPファイナルは史上最多タイの7回出場となるが?)自分でもびっくりしています。今までで一番厳しいファイナルになるんじゃないかと思います。来年もGPファイナルにいけるかは分かりませんが、思い切ってやって、次に生かせるなら生かすような演技をしたいです。

(ファイナル確定については?)ひとまずホッとしています。彼(羽生)の演技を見てもそうだけど、勢いを感じます。自分は厳しい状況にいると思いますが、それをモチベーションにしていきたいです。

羽生の台頭など、若手の成長に刺激を感じる高橋。ファイナルではどんな戦いを見せるのか 【坂本清】

(今回のGPファイナルと五輪は同じ会場だが)その場に行って、ソチ五輪に行くという思いを強めたいと思います。

(優勝を逃したことは悔しい?)悔しいですが、これからそれをバネにして練習に生かしていければ。自分でも自分の成長を疑うこともありますが、これからも成長していきたい。下の世代の成長がすごいけど、取り残されないように。着実にやっていくことが大事だと思っています。

(世界選手権に向けては?)うかうかしていられない。(代表枠の)3枠に入るのはすごくキツイし、精神的にもキツイけど、その状況を乗り越えていけたらと思います。

(日本男子の層の厚さについては?)僕も本田(武史)先生、田村岳斗選手を追いかけて、気づいたらここまできました。その後、織田(信成)選手や、小塚(崇彦)選手ら下の世代がどんどん出てきた。自分に甘えそうになっても、それに気づかせてくれる場所がある。楽しみながら戦うことができる。すごくうれしい状態だと思います。この時代にこうして一緒に滑れて、僕自身すごくうれしいです」

モロゾフコーチ「五輪や世界選手権へ課題が見つかった」

 以下は高橋大輔のコーチであるニコライ・モロゾフ氏のコメント。

「短い期間で立て直して、今後につながる良い試合でした。最初から最後までスピードを保って滑れていました。理想通りに進まなかった部分もありますが、五輪や世界選手権へ課題が見つかって良かったと思う。
(中国杯と違うところは?)経験を積んできているので、何をどう準備していればいいのか、彼は分かっています。これだけプロのアスリートとして成長した彼に出会えたことに感謝しています」

3位のロス・マイナー「初めて4回転成功した」

3位に輝いたマイナーは、順位だけでなく、演技においても満足感をあらわにした 【坂本清】

 以下は3位のマイナーのコメント。

「今日の滑りにはすごく満足しています。ショートでは、トリプルサルコウがダブルになってしまった。フリーでは初めて4回転が成功して良かったです。

(日本男子は層が厚いが?)日本男子じゃなくて本当に良かったと思います(笑)。このNHK杯に3人も日本人選手が出るということで、刺激になりました」

<了>
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