上村団長「選手は自分の力を出し切ってほしい」=日本代表選手団団長インタビュー

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五輪を前に、心境を語った上村春樹日本選手団団長 【スポーツナビ】

 ロンドン五輪がいよいよ27日(日本時間28日)に開幕する。ロンドンへ向かう日本選手は293人。選手団全体では500人を超え、前回の北京五輪に次いで史上2番目の規模となる。
 また、今大会は日本が五輪に選手団を派遣してからちょうど100年という記念すべき大会。この節目となる大会で、大選手団を先頭に立って率いる上村春樹団長に、ロンドン五輪での目標、北京五輪からの強化、日本柔道の行方などについて、お話をうかがった。

ロンドン五輪での3つの意味

――まずは間近に迫ったロンドン五輪での、日本代表選手団としての目標をお聞かせください。

 ロンドン五輪は日本にとって3つの大きな意味があると思っています。

 1つ目は1912年ストックホルム五輪に日本が初めて出場して、今回がちょうど100年目の記念すべき大会になるということ。その時は選手2名・役員2名の計4名の選手団だったそうです。それに比べると、今回は選手・役員含めて500名規模の大選手団になるわけですから、今回の記念すべき五輪でそれなりの成果を出さなければならないと考えております。

 2つ目は昨年の大震災から1年以上が経ちますが、まだまだ復興の途中ですので、被災地の方々、そして大きな心配と援助をいただいた世界の方々に日本の底力をお見せしたいと思っています。私たちがこのような状況のなかでも頑張れるんだということを示してこなければならないし、被災地を含めて日本全国を元気にするような戦いをしなければならないと思います。そのためには力を出し切って、感動や元気を送れるような試合をしていきたいと思っています。

 3つ目は東京が招致活動を行っている2020年に向けての役割です。現在、東京、マドリード、イスタンブールと3つの候補地に絞られましたが、IOC(国際オリンピック委員会)の調査では他の候補地に比べると国内での支持率が低いという報告もありましたので、そのためにも私たちがロンドンで大活躍して、招致に勢いを付けたいと思っております。

 この3つを達成するのが私たちの役割だと考えております。

――北京五輪からのこの4年間を振り返るといかがでしょうか?

 北京五輪が終わった後にロンドン五輪へ向けての目標を明確にしました。金メダル獲得順位で世界第5位、そのためには個数にすると金メダル15個から18個が必要です。もともとJOC(日本オリンピック委員会)の「ゴールドプランステージ2」(※注)で、東京へ招致をしていた2016年の五輪で金メダル獲得数世界3位を目指そうという目標ができました。そのためにはロンドン五輪では5位にならなければ、という目標でした。残念ながら16年の五輪はブラジルのリオデジャネイロ開催に決まりましたが、その目標プランは動き始めていましたので、そこを変えることなく続けていくことにしました。高い目標ではありますが、達成可能な目標だと理解しています。

 いままで金メダル数で第3位というのは1964年の東京大会と、68年のメキシコ大会がありました。第5位というのは直近ではアテネ大会(2004年)がありました。私が出場したモントリオール大会(76年)もそうでした。日本の経済力、スポーツへの取り組みからすれば達成可能な数字だと思います。ただ、すべての選手が力を出し切り、記録を伸ばすことが大前提になります。

 世界で5位というのは、その後世界のトップを目指すことも可能な位置だと思います。そして北京五輪の直前にナショナルトレーニングセンターができました。残念ながら北京五輪の時は直前でしたのでフル活用ができたとは言えないですが、今回は4年間をフルに活用できていますので、そういう意味では大きな武器になると思っています。

 またロンドン五輪に向けてはマルチサポート、全面的に選手の体調管理やトレーニング機器、用具の開発も含めて総合的にサポートする体制をつくっていただくことになりました。これは大変ありがたい話ですので、うまく活用して、どうしても目標を達成しなければならないと思っています。

 そして昨年はスポーツ基本計画を策定していただきました。五輪会場も何度も視察に行きました。そして、五輪選手村のすぐ近くにサポートハウスをつくっていただくことになりました。最後の調整は非常に重要です。選手が五輪までにどれだけ力をつけても、最後の調整によって力を出し切れるかどうかで、勝負を左右することもあります。今回、選手村から歩いて10分ほどの場所にできるサポートハウスは、食事、リラックス、体調管理、事前準備のためにはうってつけの場所ですし、選手にとっては心強い味方になるはずです。

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