奈苗“女子プロ頂上戦”制す、ゆずポン組はタッグ王座初防衛=スターダム

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ゆずポンの蹴りさく裂で『川葛』を撃破!

ゆずポン(右)&美闘の『BY砲」がライバル『川葛』を振り切ってタッグ王座初防衛 【前島康人】

 セミファイナルでは、タッグ王座を争うゴッデス・オブ・スターダム選手権が行われ、王者組である『BY砲』こと愛川ゆず季、美闘陽子組が夏樹☆たいよう、世IV虎の『川崎葛飾最強伝説』に勝利し、初防衛に成功した。
 この2組による戦いは、ここまで2勝1敗。ゴッデス・オブ・スターダム初代王者を決めるリーグの優勝決定戦でも対戦しており、スターダムにとってはタッグの頂上対決。もはや“鉄板カード”とも言えるが、この日も激しい試合となった。

 ゴングと同時に川崎葛飾が奇襲。狙いを美闘に絞ると、世IV虎のショルダータックルと夏樹の低空ドロップキックで、一気に攻勢をかける。早くも意識がもうろうとなる美闘に対し、世IV虎がスリーパーで絞めあげる。川崎葛飾は速いタッチワークで美闘を攻撃し、愛川にタッチするすきを与えないが、美闘が起死回生のランニング二―を世IV虎に決めると、すぐさま愛川に交代。しかし、勢いよく出てきた愛川も川崎葛飾の攻撃に捕まり、世IV虎にキャメルクラッチで捕らえられると、夏樹には顔を踏みつけられる。またロープに張り付けられると、トレードマークの巨乳を2人に踏みつけられた。
 なんとか蹴りで反撃に出ると、美闘も加勢して、世IV虎にダブルでゆずポンキック・レッド(かかと落とし)。さらに美闘のドロップキック、串刺しジャンピング二―と、BY砲も息を吹き返す。

 試合が10分を超えると、さらに展開がヒートアップ。夏樹が得意のハイスピードで相手を混乱させドロップキックを決めると、美闘はブレーンバスターで夏樹を投げる。世IV虎がセントーンを繰り出すと、愛川はサッカーボールキックや、ダイヤモンド・カッタ―を決める。

ダブルのゆずポンキックが炸裂! 【前島康人】

 さらに終盤に入ると、フィニッシュ技を狙う場面も増え、夏樹はたいようちゃんマヒストラルやイグチボム、世IV虎がネックハンギング・ボムを繰り出すが、BY砲の2人はこれを阻止。逆に美闘が蹴りで夏樹の動きを止めると、ゆずポンキック・レッドとブルー(回し蹴り)をさく裂させる。これで3カウントを奪うことはできなかったが、美闘が放った二段蹴りのあと、すぐさまシャイニング・ゆザードを決めると、夏樹はフォールを返すことができず、ついにBY砲が初防衛に成功した。

 死力を尽くして戦った2人は試合後、リングの上で立つことができず、その場で座りながら歓喜のハグ。美闘は「(川崎葛飾の2人に)ゆずポンの引き立て役、金魚のふんと言われ、本当に悔しかったから、今日は勝てて良かった」と、防衛できたことに胸をなでおろした。一方の愛川は、「今日の試合を見て、タッグとしてもっと進んで行こうと思いました。もっと強いチームと戦いたい」と、美闘とのタッグで、強敵との戦いを渇望した。
 またこの結果、ワンダー・オブ・スターダムのシングルベルトと二冠王のまま、地元・愛媛凱旋の大会を迎えられることに、「戦っているときは忘れていたけど、笑顔になりますね」と、故郷に錦を飾れることを素直に喜んだ。

世代闘争はまさかの3期生勝利!

世代闘争は3期生が3勝1敗とまさかの大勝利! 【前島康人】

 メーン、セミのタイトルマッチのほかに、スターダム1期生&2期生の4人と、3期生の4人による世代闘争シングル4番勝負も行われた。

 オープニングマッチとなった2期生の鹿島沙希と3期生の翔月なつみの試合は、鹿島がドロップキックやフェースバスター、そして得意のシジミなどを出して翔月を攻め立てるが、試合終盤の丸め込み合戦で、すきをついた翔月がキドクラッチで3カウントを奪う。
 続く須佐えりと安川惡斗の試合も、「弱い奴から潰していく」と宣言していた惡斗が、須佐を圧倒。ACTスペシャル(オクラホマスタンピードから相手ごと前転してマットにたたきつける)を決めた後、胴締めフロントネックロックに入ると、レフェリーストップとなり、再び番狂わせを起こす。
 3試合目の岩谷麻優と宝城カイリの戦いは、お互い山口出身の同郷対決となったが、特に同胞のよしみを感じる慣れ合いの戦いではなく、感情むき出しのエルボー合戦やビンタの張り合いが繰り返された。岩谷もいつになく、激しい攻めを見せてダブルリストアームサルトや低空ドロップキックを決めるが、宝城にイカリ(変形逆エビ固め)を決められるとたまらずギブアップ。まさかの1、2期生の3連敗となった。

1期生“最後の砦”星輝ありさ(右)が意地を見せたが…… 【前島康人】

 最後の砦として登場した星輝ありさは、はるか悠梨と対戦。悪い流れを断ち切るべく、序盤から得意の蹴りではるかを攻め立てる。試合前から「力の差は歴然か?」と思われ楽勝ムードだったが、時間が進むにつれてはるかが奮闘を見せる。グラウンドの攻防になると、すきをついて三角締めや腕ひしぎの態勢に入ると星輝が必死に逃れる。粘り強くグラウンドに誘うが、体力がなくなり動けなくなったところ、星輝がブラジリアンキックを決め、先輩の意地を見せた。

 星輝が勝って一矢を報いたが、惡斗は「3対1でうちら3期生の勝ちだ! 1期生の雑魚ども、1年先だけど練習不足じゃないの? 以上」と挑発。これにキレた星輝は、「須佐えりに勝ったくらいで何調子に乗ってんだよ。お前ら、私たちがこのまま黙っていると思うなよ」と宣戦布告。
 現在のスターダムでは、ナナエ軍団、全力女子、川崎葛飾+1、PLANETによる軍団抗争が行われているが、それとは別に、世代闘争による因縁も戦いにスパイスを加えていくことになるだろう。
■スターダム「STARDOM THE HIGHEST2012」
3月20日(火)東京・後楽園ホール 観衆:1320人(満員)

<ワールド・オブ・スターダム選手権試合 30分1本勝負>
[王者]○高橋奈苗
(23分20秒 ワンセコンドEX→片エビ固め)
[挑戦者]●里村明衣子(仙台女子プロレス)
※初代王者は2度目の防衛に成功
※特別立会人=ブル中野、特別レフェリー=和田京平

<ゴッデス・オブ・スターダム選手権試合 30分1本勝負>
[王者組]○愛川ゆず季、美闘陽子
(22分08秒 シャイニング・ゆザード→片エビ固め)
[挑戦者組]●夏樹☆たいよう、世IV虎
※初代王者組は初防衛に成功

<スターダム・ザ・ブライト 30分1本勝負>
松本浩代、●脇澤美穂
(14分49秒 マヒカ・デ・イオ)
○紫雷イオ、米山香織(JWP)

<世代闘争シングル4番勝負 15分1本勝負>
○星輝ありさ
(10分36秒 ブラジリアンキック→片エビ固め)
●はるか悠梨

<世代闘争シングル4番勝負 15分1本勝負>
●岩谷麻優
(7分04秒 ギブアップ ※イカリ(変形逆エビ固め))
○宝城カイリ

<世代闘争シングル4番勝負 15分1本勝負>
●須佐えり
(8分44秒 TKO レフェリーストップ ※胴締めフロントネックロック)
○安川惡斗

<世代闘争シングル4番勝負 15分1本勝負>
●鹿島沙希
(7分35秒 キドクラッチ)
○翔月なつみ

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