日本男子、4回転時代の幕開け 本番で見せたスターの資質=フィギュア全日本選手権・男子シングル
羽生結弦、フリー1位も「悔しい」
フリーで1位と高得点をマークした羽生 【坂本清】
そしてフリー。今季、確実にしつつある4回転トゥループを見事に成功させ、波に乗った。トリプルアクセル2本など次々とジャンプを決めていく。ところが最後の最後、決して彼にとっては難しくない3回転サルコウが1回転になった。
「気持ちが空回りしてましたね。1回転になって、空中で時間が止まりました。ああ、これどうしよう、やっちゃった?って」。演技直後は、何度も膝をたたいて、全身で悔しがった。
終わってみればショート4位、フリー首位で総合3位。「サルコウが1回転になっても点が出たのは成長した証。この悔しさを持って世界選手権に臨みたい」と力強く語った。
町田樹「どんなジャンプでもファイトで降りる」
「今シーズンは、『危ないジャンプでもファイトで降りる』という練習をしてきました。やっと踏みとどまるパワーがついてきたと思います。ものすごい緊張のなか焦らずに耐えられたのが、成長できたところです」
ショート3位、フリー6位、総合4位と、ファイトでつかんだ四大陸選手権の切符。同選手権の舞台となるアメリカでは、ひと回り成長した演技を披露するつもりだ。
日本一の雄大さ 4トゥループの無良崇人、4サルコウの村上大介
日本男子で唯一、4回転サルコウを跳ぶ村上 【坂本清】
ショートから果敢に4回転トゥループに挑んだ無良。しかしタイミングが合わず2回転になってしまうなどミスが続き12位と出遅れた。しかしフリーでも臆することなく挑戦。誰よりも高さとスピードのある雄大な4回転トゥループを成功させ、意地を見せた。フリー4位、総合で5位に食い込むと四大陸選手権への切符も獲得。次の大舞台ではショート、フリーともに4回転をそろえ、力を発揮したい。
日本で唯一、4回転サルコウを持つのが村上だ。ショートではうまく回転軸に入れず転倒したが、フリーではスカッとする切れ味の良い4回転サルコウを成功させた。「今シーズンは確率が高くなっていたので、絶対にショートから入れたかった。フリーでは不安ななかで何とかベストを尽くせたのが良かった」と村上。ショート9位、フリー5位で総合6位。「来年はショート1本、フリー2本を入れたい」と誓った。