戸崎やった中央GI初勝利! 3歳リアルインパクト快挙V=安田記念

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3歳リアルインパクトが安田記念制覇、大井の戸崎圭太はJRA・GI初制覇となった 【写真:中原義史】

 JRA春のマイル王決定戦・第61回GI安田記念が5日、東京競馬場1600メートル芝で行われ、地方・大井競馬の戸崎圭太が騎乗した9番人気の伏兵リアルインパクト(牡3=堀厩舎、父ディープインパクト)が優勝。好位3番手から息の長い末脚で古馬勢を完封し、グレード制が導入された1984年以降では初となる3歳馬の安田記念制覇の快挙を達成した。良馬場の勝ちタイムは1分32秒0。

 同馬はこれでJRA通算6戦2勝とし、GIを含め重賞は初制覇。1勝馬による古馬GI制覇も84年以降では史上初の快挙となる。
 また、騎乗した戸崎はこれがうれしいJRA・GI初制覇。同馬を管理する堀宣行調教師はキンシャサノキセキで制した今年のGI高松宮記念に続きGI4勝目。さらに、クビ差の2着にも同じ堀厩舎所属で石橋脩騎乗の5番人気ストロングリターン(牡5)が突っ込み、同厩舎によるGIワンツー決着というダブルの喜びとなった。

 なお、ストロングリターンから半馬身差の3着には、外から追い込んだ三浦皇成騎乗の3番人気スマイルジャック(牡6=小桧山厩舎)。1番人気に支持された蛯名正義騎乗のGI5勝馬アパパネ(牝4=国枝厩舎)は、直線で伸びあぐねて6着に敗れた。

テン乗りで能力引き出した戸崎、大胆策で古馬を完封

早め先頭の大胆騎乗、大井のエース・戸崎が魅せた(橙色帽がリアルインパクト) 【写真:中原義史】

 GI5勝のマイル女王・アパパネがもがいたゴール前。代わりにニューヒーローとなって飛び出したのは、なんと3歳のリアルインパクトだった。そして、殊勲の手綱を握っていたのは、地方・大井競馬のエース戸崎圭太、30歳。9回目の挑戦で念願かなったJRA・GI初制覇だった。
 「本当にまだ実感がわかないですね。勝ったのかな?という感じで、ゴールした後も周りのみんなに聞いたくらいでした。こんなに大きなスタンドで、中央のGIレースでウイニングランをするなんて、今まではテレビで見ているだけだったんですが、自分が実際に馬の背中に乗ってできたことは本当に光栄で、感激しました」

 パドックでまたがった瞬間に「すごくいい馬だな」と感じたディープインパクト産駒の背中。戸崎がレースを振り返る。
 「先生(堀調教師)からは『スタートだけ気をつけて』という指示だけ。返し馬の感じでもこれなら折り合いは大丈夫だと思いましたし、スタートも出てくれるなと思ったので、ある程度前に出し気味で行こうと。すごくいいリズムで走ってくれました」
 そして、直線坂下から後続の17頭を引き連れる堂々の早め先頭策。いくら古馬とは牡馬で4キロ、牝馬のアパパネとは2キロの斤量差があるとは言っても、百戦錬磨の先輩ホースを相手にまだ若い3歳馬、しかも1勝馬が取る戦法としてはあまりに大胆。それでも戸崎は堀調教師から得ていた情報と、調教VTRでつかんでいたという“いいイメージ”をもとに迷いなく仕掛けた。
 「この馬は切れるというよりも、じっくりとしっかりと脚を伸ばしてくれる馬だと聞いていたので、道中のいいリズムを崩さないように早めに出していきました。東京の直線は長いですし、後ろから他馬の脚音も聞こえたんですけど、自分の馬も手応えはあったし、辛抱してくれると思っていました」

「今は目の前のレースの1つ、1つを大事に乗ること」

1つの夢をかなえた戸崎だが「目の前のレースを1つずつ大事に」と、翌日からはまた大井で全力投球することを約束した 【写真:中原義史】

 今回がまったくのテン乗りながら、いきなりパートナーの全能力を引き出した大井競馬のエース。JRAのトップジョッキーにも、そして現在の日本競馬で猛威を振るう外国人ジョッキーにも負けない“腕”をアピールしてみせた。
 「夢はいっぱいあって、中央の重賞から海外の重賞からすべて勝ちたいと思っています。でも、今は目の前のレースの1つ、1つを大事に乗ること。今は地方の騎手なので、これからもまた地方競馬で1つ、1つを大事に乗っていきたい。もちろん、機会があれば中央の大きなレースもどんどん乗せていただきたいです」

 月曜日からはさっそくホーム・大井競馬の開催がスタート。今週は地方競馬が一体となって盛り上がるダービーウィークも同時に始まり、8日の水曜には南関東3歳馬の最強決定戦・東京ダービーが大井2000メートルで行われる。
 戸崎が騎乗するのは、牝馬ながらに南関東クラシック三冠レースの第一冠・羽田盃を制した大本命クラーベセクレタ。「地方競馬ファンのみなさんのたくさんの応援を期待しています。ぜひ大井にもお越しください」。20年ぶりの牝馬による東京ダービー制覇なるか、3日後の大井での大一番にも注目だ。

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